警察庁には犯罪を直接、捜査する権限や組織・人員はないが、新制度では各都道府県警が、外国語や情報の収集・分析能力、国際捜査経験などに優れた警察官を「国際犯罪捜査指定捜査員」に選定し、警察庁が登録する。
警察庁は事件の発生状況など必要に応じ、指定捜査員を複数の都道府県や部門にわたる捜査に投入、同庁の指導・調整の下で管轄を超えて外国機関とも連携した捜査を展開できる仕組みを目指す。
「FBI型」を支えるため、警察庁は次長をトップとする委員会と対策室を設置し、情報の収集・分析や取り締まりの基本方針を定めるほか、ICPO(国際刑事警察機構)などとの国際連携を強化する。
また、これまでは情報共有がなかった外事、国際捜査の両部門が連携するタスクフォースも随時設置する。
一方、各地の都道府県警側では本部長指揮の下、個別の犯罪組織の活動状況の把握を専門とする「実態解明班」を新設。犯罪資金の流れの分析を専門とする警察庁の部署と連携して犯罪組織の活動実態の把握し、捜査現場に提供する。
警察庁は同日、都内で全国警察本部の国際組織犯罪捜査担当幹部を集めた会議を開き、安藤隆春長官は「犯罪のグローバル化が急速に進み、治安に対する重大な脅威となっている」と指摘。そのうえで、「日本警察が一丸となった取り組みを強化することで国際犯罪組織との新たな戦い方を構築してほしい」と述べた。
■犯罪のグローバル化
金融、経済のグローバル化やITの発達などに伴い、ヒト・モノ・カネ、情報の移動や流通が容易となった状況を悪用して行われる国際的な犯罪。アジトや犯行地(国)、携帯電話、銀行口座などインフラなどを相互に融通するなど緊密に連携。素早く国境を行き来するため摘発は難しいとされる。国内ではナイジェリア人のマネーロンダリンググループや西中欧系強盗団「ピンクパンサー」、中国系「爆窃団」などの活動が把握されている。
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